トランプのイラン制裁強化は効かないだろう (2026/8/27)
米国がイランとの間で結んだ暫定停戦合意が失効する一方、中東に展開する米軍のミサイルは底をつき始めた。トランプ大統領は吠えるが、事態は完全に手詰まりとなった。
先週、トランプは経済的Dデイ1/と称する次の手を打ち出し、ベッセント財務長官が8月24日にその詳細を発表した。イランと世界経済との結び付きを断ち切るため、イラン原油の輸入国やイランの資金移動に係わる機関に対して更なる圧力を加えるという(具体的な対象は名指ししなかった)。
しかし、米国の要求に直ぐさま反応する国はないだろう。イラン原油の最大の引き取り手は中国である。これまで中国は、米国のイラン制裁を無視して、国際市場価格から7〜12ドル/バレル安い値段でイラン原油を輸入してきた。イランの原油輸出量の90%位を引き取り、その代金は昨年のイラン政府予算の半分を賄っていたと見られる。
中国はイラン問題で米国に呼応するつもりなどなく、新たな制裁は世界経済に悪い影響を与え、経済の安定を損なうと警告している。米国は4月に中国の恒力集団2/が数十億ドル相当のイラン原油を輸入したとして制裁を加えたが、更なる制裁を中国企業に加えるかといえば、それは難しいだろう。もし中国企業に制裁を加えることになれば、中国の報復を招き、トランプが現在進めつつある中国への積極的な働きかけを台無しにする事になる。
イランが極めて難しい経済状況に置かれていることは事実である。リアルは下落し続け、失業率は上がり、インフレは年率88%に及ぶ。しかし、イランは革命以降、半世紀近く戦争と経済封鎖を経験して今に至る。トランプの経済的な脅しに屈することはあり得ない。新たな経済制裁がイランを怯えさせるものにはならず、むしろイランは、この2月以降に米国が実施した軍事作戦(軍事攻撃)が失敗したことの証と捉えるだろう。
ベッセント財務長官はこの4月に、ホルムズ海峡の封鎖でイランの石油産業は崩壊すると予想したが、そうはならなかった。イランは未だに敵に対して反撃し続け、それを止めるつもりはない。
そもそもイランは、紀元前6世紀にまで遡る歴史を持ち、165万平方キロメートルの国土(日本の4.5倍)と9000万人の人口を誇る中東の大国である。トランプがイランの力を見くびったことは大きな誤算である。
1/
Economic
D-Day,Dデイは、第二次世界大戦のノルマンジー上陸作戦の開始日。軍事用語として作戦開始日時を表す。
2/
Hengli
Group