『移民と日本社会――データで読み解く実態と将来像』 永谷希久子 20225月 中央公論新書

 

 

日本政府は建て前として移民政策は採らないが、人手不足を補うために外国人労働者は受け入れる1/と、都合主義的な対応に終始してきた。

 

しかし、現実には日本は立派な移民国家になりつつある。昨年10月時点で、外国人労働者の数は257万人で、過去最大に達した。日本の労働人口はおよそ7000万人なので3.7%が外国人である。日本の場合、外国人労働者の多くは単純労働に従事する。とりわけ3Kと呼ばれる職場では、外国人労働者がいなければ廻らなくなっている。

 

日本は出稼ぎ労働者として安価な賃金で人を雇うための仕組みとして外国人労働者を受け入れてきた。その数が増えれば増えるほど、問題の歪みが大きくなる。技能実習生の失踪、そして不法滞在者といった問題である。

 

外国人と日本人との間で様々な軋轢が生じることで、移民に対する社会不安が拡大する。それが右翼的な主張を助長し、外国人に対するヘイトを引き起こす。これは欧州の先進国において先行的に起きた。

 

そろそろ日本は国として移民をどう受け入れるのか、そのための社会的な体制をどう構築するかを整理すべき時に来たのだろう。移民問題で先行する欧米は政治的かつ社会的な混乱を経験し、受け入れるあるいは規制するための様々な仕組みを試してきた。言うまでもなく、それらの仕組みは万能ではない。旨く機能するかしないかは国によって異なる。

 

日本の現状と将来を見れば、少子高齢化のなかで今の社会を維持発展し続けることは簡単ではない。我々は、今や外国人労働者無くしてもはや成立しない仕事(産業)を身の回りに見ている。経済構造と産業構造が急速に変化するなかで、日本が世界を相手に競走して行くには国内の人材だけでは足りない。世界から優秀な人材を求めるしかない。

 

移民問題を感情論だけで捉えても解決策は見つからない。この本は少々学術的ではあるが、移民問題を包括的な視点で考えさせてくれる。

 

 

 

/1     故安倍首相が入国管理法改正案の説明で、「いわゆる移民政策をとることは考えていない」が、制度改正の趣旨は「深刻な人手不足に対応するため、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を期限つきで受け入れる」と答弁した。 【日本経済新聞 2018.10.29

/2     厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html

 

 

 

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