IMF世界経済見通し2025年4月改定 (2025/5/2)
先月、IMF1/は世界経済見通しを下方修正した。言わずもがな、これはトランプ大統領の関税政策が引き起こした世界経済の混乱を踏まえたものである。報告書にもあるように、この見通しは極めて不確性が高い。何せ、トランプの行動に長期的な展望や戦略はなく、極めて場当たり的、かつ朝令暮改が当たり前になっているからだ。
いずれの国も前回1月の予測値が大きく引き下げられた。今年の成長率でいえば、米国が0.9ポイント下げの1.5%、ドイツが0.5
ポイント下げの0.3%、フランスが0.2 ポイント下げの0.8%、日本が1.2ポイント下げの-0.4%、英国が0.1ポイント下げの1.7%に落ち込む。トランプ関税の本丸である中国は大きく1.3ポイント下げの3.2%と大幅な下方修正である。
ちなみに日銀の4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、今年度の経済成長率は1月の発表値を0.6ポイント下げた0.5%とした2/。
トランプ関税がどう変わるのか全く分からない。米商務省が4月30日に発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比0.3%減である3/。一方、インフレが収まっているわけではなく、スタグフレーションに陥ることもあり得る。第2・四半期には関税値上げ直前の駆け込み輸入で貿易収支が改善し、GDPの落ち込みも改善するかもしれないが、年末までに再びマイナス成長となっても不思議はない。
トランプ大統領が一番気にしているのは支持率である。もし、経済の落ち込みとインフレが実感するものとなれば、トランプを支持した浮動票は一気に離反に向かう。就任から100日を迎える米国のトランプ大統領の支持率がCNN調査では41%に落ち込んだ。100日目の支持率としては、1053~61年に大統領を務めたアイゼンハワー氏以降の歴代大統領(1期目のトランプ氏本人を含む)の中で最低である4/。
トランプ大統領が何を言い出すか全く分からないし、経済の先行きもほとんど予測できない。
1/
国際通貨基金
2/
日本経済新聞ウェブ版(2025/5/1)
3/
Reuters
2025/5/1
4/
CNN
2025/4/28