ウクライナ停戦はどうなった (2025/4/16)
朝令暮改に陥ったトランプ大統領の相互関税問題に世界中が翻弄されるなか、日本ではウクライナ停戦に係るニュースを目にすることがほとんどなくなった。
トランプは選挙期間中に、俺ならウクライナ戦争を一日で終わらせているとうそぶいたが、その後、停戦実現には100日掛かると発言が変わった。その言葉に従えば、今月末には戦争が停止されなければならない。
しかし、ロシアがトランプの提案に応じる様子はなく、無条件30日間の停戦案をあっさりと拒否した。その間に時間稼ぎをしつつ、ウクライナへの攻撃をさらに強化した。4月4日のクルィヴィーイ・リーフ1/へのミサイル攻撃では20名が亡くなり、さらに4月13日にはスーミィ2/で、教会に集まっていた34人が犠牲となった。あろうことか、トランプはこのスーミィへのミサイル攻撃は恐ろしいことだが、何かの間違い(で起きた)と発言した。(ロシア国防省は攻撃したことを認めている。)
さらに、トランプはミサイル攻撃を受けたことでウクライナを非難し、ウクライナが米国からミサイルを購入したいという申し出を蹴った。「20倍も大きな国と戦争をしでかすな。誰かがミサイルをくれたらいいね」とまで言い放った3/。もはやトランプがウクライナを支援するつもりのないことは明らかである4/。
トランプはロシアと上手く交渉してウクライナ停戦を実現し、世界にアピールしたかったのだろうが、結局、彼の一人芝居で終わったと見るべきだろう。一方、プーチンはトランプをうまく手玉に取った。ロシアには未だ戦争を続けるだけの武器弾薬の供給能力があり、ウクライナの軍事支援の半分を負担する米国が手を引いてくれるならば、願ったり叶ったりである。
ロシアがウクライナへの攻撃を強化し、米国が欧州から手を引こうとするなか、ウクライナが戦い続けるにはEUがどれだけ結束してウクライナを支援し続けられるかに掛かっている。
1/
ウクライナのドニプロペトローウシク州クルィヴィーイ・リーフ地区にある都市。
2/
北東ウクライナに位置する都市で、スームィ州の州庁所在地。
3/
BBC
News April 14, 2025
4/
バイデン政権が認めた武器弾薬の提供は1〜2ヵ月で終了する。トランプ政権が新たな援助を行う可能性はほぼない。