トランプ指名閣僚の問題児 (2025/1/27

 

 

トランプ2は第1期と異なり、トランプ大統領に絶対的忠誠を誓う人物を配置する。しかし、彼が指名した候補の中には問題児がいる。

 

まずは国防長官に指名されたピート・ヘグセス。そもそも彼はトランプがお好きなフォックスニュースの司会者という経歴の持ち主で、政治経験は無い。過去、女性に対する性的暴行やアルコール依存症の疑惑があり、トランプ指名後に様々な議論を引き起こしていた。ヘグセスには白人至上、そして女性蔑視の考えが強い。

 

114日の上院軍事委員会では2017年の性的暴行事件の告発1/については、告発した女性との間で秘密保持契約が結ばれていると主張した。本会議での承認裁決では共和党から3名の反対が出たことで、賛成反対が5050になったが、最終的に議長を務めるヴァンス副大統領が賛成票を投じ、彼の国防長官任命が承認された。

 

米軍について、彼はこれまで女性登用を非難する過激な意見を述べるだけでなく、アフリカ系のブラウン統合参謀本部議長を名指しで解任するとも発言している。ちなみに、ブラウン氏は2020年にジョージ・フロイド事件が切っ掛けとなって黒人差別に対する抗議が全米で巻き起こった際、黒人軍人としての自らの体験を語る動画を公表している2/

 

お次に国家情報長官に指名されたトゥルシー・ギャバードも問題を抱えている。彼女の政治経歴が面白い。元々はハワイ出身の民主党議員であり、2016年の大統領選では左翼として知られたバーニー・サンダースを支持した。一方、ヒラリー・クリントンに対しては、オバマ政権下の国務長官として海外の紛争に軍事介入し、世界で混乱を引き起こしたと非難した。次の2020年の大統領選では予備選に名を連ねたものの撤退し、バイデン支持に回った。しかし、2022年に民主党を離れ、2024年には共和党に入った。

 

ギャバードは2017年にシリアを訪問しアサド大統領に会い、その時、シリアが反政府勢力に対して毒ガス攻撃をしたという事実を疑わしいと述べ、アサド政権に好意的な立場を取った。また、プーチンのウクライナ侵攻についてもプーチンがNATOの拡大に対する正当な対応であると擁護し、ロシアのテレビ司会者からは「ロシアの仲間」、「ガールフレンド」と呼ばれた3/

 

このように彼女は親露派と見られており、もし18の情報機関を監督する国家情報長官になれば同盟国との間の軍事情報の共有で米国の立場を毀損すると危惧視されている。

 

 

 

1/     2017年にある女性がヘグセスにカリフォルニアのホテルで性的暴行を受けたと警察に告発した。その後、ヘグセスは彼女との間で秘密保持を約束するために金を払ったが、性的暴行はなかったとしている。[The Economist (2024.12.4)

2/     朝日新聞ウェブ版 (2024.11.19)

3/     The Economist (2024.12.13)

 

 

 

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