トランプ不況の予兆
(2025/7/8)
昨日週明けの日経平均株価は3日間続落し、前週末比2644円00銭(7.8%)安の3万1136円58銭で終えた。これは過去3番目の下落幅である。
東京市場に続いて開かれた各国の市場も同様に大きく下落した。最大の下げは香港市場で、ハンセン指数が前営業日比13.22%安、リーマンショックを超える過去最大の下げとなった。中国上海市場も同じで、上海総合指数が7.34%安、この下落率は2020年2月3日の7.72%安以来である。
東アジアの市場に続いて始まった欧州市場も軒並み下落。汎欧州、英国、ドイツの株価は軒並み4%を超える安値となった。
そして最後のニューヨーク市場は乱高下に見回れ、取引時間中の値幅は2595ドルと1998年以降で過去最大を記録した。朝方には一時、前週末比1700ドル以上下げたが、その後、トランプ大統領が関税の90日間停止を検討するという噂が流れ、一気に株価は上昇した。しかし、この関税停止の噂はその後政権が否定したことで再び下落し、乱高下となリ、終値は0.91%安で引けた。
つまり世界中の株式市場がトランプ大統領の関税引き上げに翻弄される週明けの株式市場であった。
当のトランプ大統領は、先週のニューヨーク株価の下落を受けて、日曜日には強気の発言をしていたが、内心穏やかではなかろう。
株価の下落もさることながら、彼にとって一番怖いのは景気の落ち込みとインフレである。大統領選挙で勝てたのは、労働者階級が彼を支持したからに他ならない。しかし、インフレの影響を真っ先に受けるのは彼らである。来年秋には中間選挙があり、もしインフレが再燃するようなことになれば、共和党候補にとって厳しい戦いになる。さらに、中間選挙で共和党が過半を割ることになれば、任期後半2年の政権は死に体となる。
トランプ大統領が一度決めた関税を直ぐさま引き下げることはなかろうが、今年第2四半期、第3四半期とインフレが続き、景気の落ち込みが現実になれば、共和党内部も一枚岩とは言っていられなくなる。
ちなみに、米金融大手ゴールドマン・サックスは、米国の景気後退が今後12カ月以内に起きる確率をこれまでの35%から45%に引き上げた。また、JPモルガンは米国および世界経済が景気後退に陥る確率を60%とした*1。インフレと不況の同時発生が起きても不思議ではなくなりつつある。
*1
Reuters
2025.4.7