トランプ大統領の支持率 (2025/8/29)
日本にとってトランプ大統領が引き起こした最大の災厄は相殺関税(日本については15%)であろうが、米国内でも様々な災禍を引き起こしている。
反イスラエル的な学生運動に対する大学への弾圧(具体的には補助金の差し止めや留学生のビザ制限)や連邦政府準備制度理事会(FRD1/)への政治介入、そして反ワクチン主義者であるロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉省長官が引き起こした混乱(予防接種諮問委員会メンバーを反ワクチン派に入れ換え、長官の意に沿わない疾病予防管理センター(CDC2/)の所長の解任、長官のやり方に異を唱える所管の機関の幹部の辞職)と、例を上げれば切りがない。
その結果、トランプには岩盤支持層であるトランピアンはいるものの、米国民全体を見渡せば愛想を尽かした人々は増えている。それはトランプの支持を問うた世論調査結果に表れる。
直近で言えば、エコノミスト誌が先週の調査結果を出している3/。支持から不支持を引いた正味の支持率は-14%(支持41%、不支持56%、分からない4%)である。エコノミスト誌はこれまで定期的にこの世論調査を実施しており、上下変動はあるものの、就任以降この8ヵ月間、低下傾向が続く(図参照)。
日本の首相と同じで、大統領就任時は高い支持を得るが、時とともに支持率が下がる。トランプの場合、バイデンやオバマと比べて正味支持率は一貫して低い。私の記憶が正しければ、アイゼンハワー以降、歴代大統領の中でトランプがもっとも低いはずだ。
もう一つ別の結果を見てみよう。キニピアック大学の世論調査4/でも-18%(支持が37%、不支持が55%、分からない7%)とエコノミスト誌の結果とほとんど変わらない。
つまり、トランプの支持率は極めて低いと言うことである。でもトランプはいつもの如く吠えるだろう————インチキだ。
1/
Federal
Reserve Board
2/
Centers
for Disease Control and Prevention
3/
The
Economist August 29th 2025
4/
Quinnipiac
University / Poll August 27, 2025