信州の旅——小布施、松代、奈良井 (2025/7/24)
娘が旅行で留守する間、いつもの様にカミさんが猫守のために娘のアパートに泊まり込むので、私は気楽な一人旅に出ることにした。
かねてより、葛飾北斎が晩年に過ごした小布施の町を訪れてみたいと思っていた。私にとって北斎とは浮世絵師のイメージしかなかったが、晩年の小布施では浮世絵を離れて様々な肉筆画を描いた。そして北斎は自らを画狂老人卍と称し、90歳で死去するまで描き続けた。絵を極める事への執念には恐ろしいものがある。そもそも、あの富嶽三十六景を完成したのが74歳というだから、常人ならざるその情熱と才能には恐れ入る。
次に向かったのは松代。ここは真田氏の領地であった。以前、上田を訪れた際に真田昌幸が築城を開始した上田城1/に行ったことがある。徳川時代に入り真田信之2/が松代に移封された後、真田氏が統治する松代藩は明治まで続いた。
松代には松代城址、真田邸(屋敷)、そして屋敷の隣に文武学校がある。この一帯が江戸時代の松代藩の面影を今に伝えている。真田邸はいわゆる御殿であり、江戸末期の建築様式がそのまま残されている。文武学校は江戸時代に諸藩が持っていた藩校と同じで、明治以降も学校の校舎として使われた。いずれの建物も歴史好きには堪らない魅力がある。
旅の最後に訪れたのが奈良井宿。馬籠宿、妻籠宿と並び木曽路の宿場の姿が保存されている。外国からの観光客にも人気のスポットになっている。私が泊まった民宿のご主人の話では、宿泊客の多くは外国人という。豪州の旅行社がパッケージを組んでおり、観光客は馬籠から妻籠、そして木曽福島で一泊して奈良井宿まで徒歩で旅する。大きな荷物は宅配便で次の宿まで送り、人は身の回りの品をリュックに詰めて、中山道を唯々歩く。お年寄りにも人気で、70歳程度の方でも歩くという。
信州も夏は暑く日中は30度を超えるが、湿度は低い。炎天下は厳しいものの、日陰は心地よい。奈良井宿の民宿に冷房はなかったが、日が落ちれば涼しく、明け方の気温は21度まで下がった。ふと思えば、私が子供の頃は、夕涼みという言葉どおり日が落ちれば気温も下がった記憶がある。
|
|
|
|
|
岩松寺(小布施) 本堂に北斎が描いた鳳凰図の天井画がある |
松代城址 |
奈良井宿 |
1/
現存のお城は江戸時代に仙石忠政により再建されたもの。真田昌幸が関ヶ原の戦いで西軍についたことで、真田昌幸が築いた上田城は破却された。
2/
関ヶ原の戦いで父真田昌幸と弟真田幸村は西軍についたが、真田信之は東軍についた。