失敗に終わったトランプとゼレンスキー会談 (2025/3/1)

 

 

224日に行われたトランプとフランス大統領マクロンの会談、そして27日に行われた英首相スターマーとの会談は大旨成功と評価され、有効な雰囲気で終わった。スターマーとの会談で、トランプはBBCの記者から「今もゼレンスキー氏が独裁者だと思うか」と問われたのに対して、「私がそんなことを言ったか?そんなことを言ったなんて信じられない」ととぼけた1/

 

この時点で、トランプはゼレンスキーが停戦と引き換えにレアアース開発の利権を米国に渡すためにホワイトハウスを訪れるものと確信していたのだろう。

 

しかし228日に行われたトランプとゼレンスキーの会談は悲惨とも言える喧嘩別れに終わった。この会談決裂の切っ掛けを作ったのは、トランプとゼレンスキーとの会話に割って入った副大統領JDバンスの発言であり、ゼレンスキーはバンスの術策にはまってしまった。バンスはトランプ以上にウクライナ支援は金の無駄使いで、手を引くべきと考えている。

 

ゼレンスキーにとって、停戦は将来恒久的な平和の保障を米国から取り付けることが絶対的な条件であり、彼はそれを担保するためにトランプに会いに行った。ところが、その場の成り行きとはいえ、会談でバンスが発した言葉に我慢ならず言い返してしまった。

 

この会談決裂により、ゼレンスキーに対する辞任か選挙かという圧力は内外共に強まるだろう。ウクライナには、この戦時下で大統領選挙ができるのかという事情がある一方、米国の支援なしでロシアとの戦いを継続することは不可能という現実がある。つまり、ウクライナの今後は全く不透明で危ういものとなった。

 

今後はウクラナを支援する欧州がどう動くかである。32日にロンドンで欧州各国の首脳が集まり、停戦後のウクライナ支援について話し合いが行われる。欧州は米国以上に支援金を負担してきたが2/、米国抜きでウクライナを守る力は無い。しかも、欧州は一枚岩ではない。ハンガリーのような新ロシア国家もある。

 

今回のトランプとゼレンスキーとの会談決裂、ロシアのプーチンだけがほくそ笑んでそれを眺めている。

 

 

 

1/     BBC News Japan, 2025/2/28

2/     これまでの負担は米国40%、欧州60%と見られる (The Economist, 2025/2/28)

 

 

 

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