移民問題 (2025/1/12

 

 

米国の次期大統領トランプが移民嫌いである事は有名。これまでも、ホワイトハウスに入れば直ぐにでも不法移民を追放すると発言してきた。これに対して、トランプの政策が非技能労働力の不足と、テック企業に必要な高度人材の喪失を招くことになるという反論がある。

 

移民である高度人材が今の米国のハイテク産業を支えていることは紛れもない事実である。エヌビデアの創業者であり、かつCEO兼会長であるジェンスン・フアンは台湾、ブロードコムのCEOホック・タンはマレーシア、マイクロソフトのCEO兼会長サティア・ナデラとアルファベット(グーグルの親会社)の最高経営責任者スンダー・ピチャイはインド、そしてテスラのイーロン・マスクは南アメリカの出身である。

 

米国の繁栄が移民によって支えられて来たことは誰にも否定できない。

 

さて翻って日本を見てみよう。日本は移民を厳しく規制しているが、実態として多くの外国人が日本の社会を支えるようになっている。街中の工事現場を見れば、そこで働く外国人は珍しくない。もはや建て前と実態が大きく乖離している。

 

米国と同様、移民に反対する声はインターネット上に溢れる。昨年末、亀田製菓のインド出身の会長兼CEOが、メディアのインタビューで「日本はさらなる移民受け入れを」と発言をした途端に炎上し、株価まで下がってしまった。

 

日本では、移民というと安価な労働力確保のイメージがどうしても付きまとう。技能実習が安価な労働力確保のための制度となり、多くの外国人労働者が来日した。しかし安い給与と劣悪な労働環境ゆえに実習生が職場から逃げ出し、不法滞在者になるという事態を引き起こした。

 

生産年齢人口がますます先細りになる日本において、単純に労働力としての移民は避けて通れないが、それ以上に必要な移民は高度人材である。デジタル分野、とりわけ人工知能(AI)分野で日本の実力は海外から大きく列後する(表参照)。米国のハイテク産業がそうであるように、日本がこの分野で世界に伍して行こうというのであれば、海外から人材を求めなければそれは叶わない。

 

今は、女性や高齢者の労働力でなんとか労働人口の不足を補おうとしているが、抜本的に問題を解決できるわけではない。それは、日本と米国の人口ピラミッドを比較すれば一目瞭然(図参照)。ましてや次の時代を担うハイテク産業の創出となれば、移民は嫌だなどと言っていられない。人口の老齢化とともに先細りで国も衰退化するのか、新たな血を入れてでも国を活性化させるのか、どちらかを選ぶしかない。

 

 

(原典)国際連合人口部

(出所)セカイハブ https://sekai-hub.com/statistics/un-usa-population-pyramid

 

 

 

 

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