ベネズエラの世論はマドゥロ政権崩壊に肯定的 (2026/1/15)

 

 

日本では、マドゥロ政権の崩壊について、トランプ大統領による他の主権家国への介入であり、国際法違反という批判が大勢を占める。軍事力によるベネズエラ政府の転覆は、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席の行動と同じで、世界秩序を乱すものであり、力による現状変更は許されないという批判だ。

 

しかし、ベネズエラ国民の意見からは、ちょっと違った姿が見えてくる。エコノミスト誌が行った市民への世論調査の結果は次のようなものであった1/

 

l  マドゥロ大統領は、国民を苦しめ、経済を破綻させ、2024年の大統領選挙を不正に盗み取った当事者であり、国民にとっては憎悪の対象である。米国が彼を拘束したことに反対する者は回答者の13%に過ぎず、半数以上は米国の行動が望ましかったと考えている。

l  米国の攻撃で希望がもたらされた。マドゥロ政権下で国は行き詰まり、経済は70%に縮小した。回答者の5分の41年以内に政治は良くなり、経済状況は良くなると考えている。

l  国民は米国がベネズエラを運営し、石油に関心を持っているというトランプの発言を楽観的に捉えている。回答者のほぼ半分は何らかの形で米国が国の統治に係わることを支持し、反対は僅か18%にとどまる。石油産業の管理については意見が分かれ、4分の1は米国が、3分の1はベネズエラ政府が、約3割は民間企業が管理すべきと答えた。

l  新たな大統領については、回答者の3分の1以上が20247月の大統領選挙で野党統一候補だったエドムンド・ゴンサレス氏が大統領に就任すべきと考え、3分の2が新たに大統領選挙を行うべきと考えている。91%の回答者は1年以内に選挙が行われるべきと考えている。これはトランプ政権が新たな大統領選挙は数年後と発言したこととは大きな乖離がある。

l  国民は、現状トランプ政権が後押しする今の暫定大統領デルシー・ロドリゲス氏(マドゥロ政権下の副大統領)に好感を持っていない。僅か13%が彼女を支持するにとどまり、ノーベル平和賞を受賞したマリア・コリーナ・マチャドへ氏の支持に比べ30パーセンテージポイント低い。

l  意外にも、トランプ氏とマルコ・アントニオ・ルビオ氏(国務長官)に対する好感度はマチャド氏に対するものよりも高い。

 

つまりこの世論調査から見えるものは、ベネズエラの国民はトランプ大統領によるマドゥロ政権の崩壊を好意的に捉え、いち早く民主的な選挙を行い、国を安定化させるとこと望んでいるということである。

 

しかし現状は問題だらけだ。ロドリゲス暫定大統領は軍を掌握しているわけではないし、国の選挙システムは腐敗しており、国民はそれを信用していない。一方、トランプ氏は米国石油資本がベネズエラの石油産業に投資して、生産を立て直すことを望んでいるものの、政治が不安定である状況下で民間企業が簡単に手を出せる環境にはない。事実、エクソンモービルのCEO2/は、ベネズエラは投資できる状況にないと発言した(この発言に対してトランプ氏は不快感を示し、同国の石油開発から除外すると発言した)3/

 

本当にベネズエラの政治を安定させて経済を再建するには、トランプ政権がベネズエラの政情安定と民主化を支援しなければならないが、彼にその気はなかろう。関心は石油資源の獲得だけで、軍事政権であろうが他の政権であろうが、米国が石油を独占できればそれで良いのだろう。

 

 

 

1/     The Economist Jan 13th 2026

2/     Chief executive office

3/     Reuters January 13, 2026

 

 

 

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: door「ホームページ」に戻る。