日産自動車20253月期決算 過去最大の最終赤字7500億円 (2025/4/25)

 

 

日産自動車が昨日発表した20253月期の決算見通しは7500億円の最終赤字である。

 

決算見通しの内容を見てみよう。売上126000億円に対して営業利益は僅か850億円にすぎない。日産は抜本的な構造改革に迫られ、生産能力の二割縮小、9000名の人員削減、世界で三個所の工場閉鎖を決めており、構造改革に掛かる費用が5600億円(工場資産の簿価見直しによる減損損失が5000億円超)となる1/

 

ちなみに、かつて日産と鎬を削ったトヨタの今年3月期決算見通しは売上47兆円、営業利益47000億円。日産がいかに凋落していったか良く分かる。

 

日産が再生を目指してホンダとの経営統合を発表したのが昨年12月、そして破談となったのはわずか2ヶ月後の今年2月であった。破談の理由は日産がホンダの子会社となることにプライドが許さなかったということにある。しかし、今の日産にプライドと言っている余裕などない。

 

現状で売れる車はなく、工場稼働率は下がり、開発資金も乏しい。国内市場はもとより、今まで利益を稼ぎ出していた中国市場では、EV2/化が進むなかであれよあれよと言う間に販売台数を落とし、現地企業に立ち向かうだけの商品力をなくした。もう一つの稼ぎ頭の米国市場ではインセンティブを付けて安売りすることで赤字を増やし、かつ日産のブランドも大きく毀損した(米国では、今や日産は安物車に過ぎない)。

 

巷で言われるように、自動車産業自体が歴史的な転換期に来ている。EV化は言うまでもなく、SDVSoftware Defined Vehicle)化が始まっている。これまでの自動車は機械工学や燃焼工学に基づくハードウェアが基本であったが、これからの車は外部との間の双方向通信機能を使って車を制御するソフトウェアを更新し、販売後も機能を増やしたり性能を高めたりできるものへと進化する。情報技術と制御技術が主となり、ハードウェアは従となる。それはEV車が自立運転する世界をイメージすれば分かり易い。

 

今の状態を見る限り、もはや日産が自力再生できる可能性は低い。1990年代末、日産は経営危機に陥った際にルノーに救済を求めたように、他社との連携を探らざるを得ないだろう。それが中国企業であっても驚きはない。

 

 

 

1/    日本経済新聞(2025/4/24および2025/4/25

2/    Electric Vehicle,電気自動車

 

 

 

 

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