「石破やめるな」デモ (2025/7/30)
先週末の朝日新聞(デジタル版)に、『石破やめるな、首相官邸前でデモ 自民党内から退陣要求出る中で』と題した特集記事があった。
そんなデモがあった事は私も知っていたが、朝日はもう少し深掘りして纏めている。
デモには、ソシアルメディアを通じて性別や年齢を問わず人が集まったようである。面白いことに参加者には野党支持者が結構いたという。記事を引用すれば「取材に答えた参加者は野党支持者が目立った」そうだ。
普通に考えれば、自民党に「ノー」を突きつけた野党支持者が何故「石破やめるな」とデモに出かけたのだろうと、素朴な疑問が湧く。
今回の参院選は与党の大敗北であったが、有権者がそっぽを向いた一番の原因は旧態依然とした自民党の体質にあったと思っている。例えば、裏金問題や選択的夫婦別姓制度についての煮え切らない態度への拒否感がある。もう一つは党の中枢を占める年寄り達への嫌悪感だろう(幹事長の森山氏は80歳、麻生最高顧問は84歳)。
立憲民主党やれいわ新選組に投票したデモ参加者の発言からは、今の自民党にはほとほと愛想が尽きたが、かと言って野党に政権を担う力はないという思いが窺われる。
そうなると、自民党が政権を取り続けるならば、石破氏がよりましという結論になる。デモ参加者が発した「近年の自民党には稀な言葉が通じる政治家」、あるいは「国会論戦で野党とまともに議論ができる人」という意見がそれを裏付ける。
自民党内部では、石破下ろしの大旋風であるが、最有力といわれる高市氏が次の首相になれば、野党との協調は難しく、政治がもっと混乱するという懸念は尤もだろう。
今回の参院選、私も自民党には入れなかったが、野党のほとんどは公約の柱が消費税廃止や国債発行である。私にとっては、選挙目当てのバラマキにしか見えない。そこにはまともな財政議論がなく、ましてや長期的な成長戦略などどこにもない。誰に投票する、どの党に投票するという判断は難しかった。
投票行動とデモには一見大きな矛盾があるが、そこには庶民の政治に対する健全な意思表示があったようにも映る。