2025年世界イノベーション指数—Global Innovation Index (GII) 2025
(2025/9/23)
世界イノベーション指数(GII)とは、世界知的所有権機関(WIPO1/)が発表する世界各国のイノベーション、つまり革新能力と成果を評価・分析したランキング。78の指標を基に、制度、人的資本、インフラ、市場、事業などの「イノベーション・インプット」と、知識・技術の産出、創造的産出などの「イノベーション・アウトプット」の2つの側面から国を評価する。
毎年GIIランキングを発表するが、今年の大きな変化は中国がドイツを押しのけて10位に入ったことである。中国がこれまでに国家として科学技術への投資と関連産業の育成に莫大な規模でヒト・モノ・カネを投下し続けてきたことを考えれば、これは当然の結果である。かつて中国は「デブの技術ドラゴン2/」、つまり膨大なカネとマンパワーを投入したものの、ほとんど創造的なモノを生まなかったと揶揄されたが、いまやスリムな竜になったと言うことである。
10位までを見てみよう。1位はスイス、2位はスウェーデン、そして3位は米国。アジアからは、4位が韓国、5位がシンガポール、そして今回10位に中国が入った。押し並べて、欧州勢が強い。しかも英国を除けば、人口が少ない国である。
では日本はと言えば12位。なぜ日本が10位内に入れないのだろう?それはGIIが技術革新を見ているからである。
科学や革新への投資、技術進歩、技術の適用、社会経済へのインパクトといった指標で測る。とりわけ投資では科学文献数、研究開発投資、ベンチャーキャピタル、国際特許の数で評価する。しかし、日本の影は薄い。
産業分野別で言えば、今一番ホットな産業といえるICT3/で名を連ねるのは米国、韓国、中国、欧州で日本企業の名はない。ソフトウェアも同じ。薬品・バイオでは、唯一、武田製薬の名があがる。日本が強いのは自動車くらいで、ホンダ、トヨタ、デンソー、日産の名が見られる。建設・工業用金属はゼロ。旅行・レジャー・個人商品で任天堂、ソニー、パナソニック、そしてヘルスケアでオリンパスくらいにすぎない。
つまり、在来型の産業では名をなす企業はあるが、コンピューターサイエンスやバイオと言った次世代を担う産業で日本の存在感は薄い。アジアだけで見ても、日本はもはや4番目の国である。日本は一見豊かになったように見えるが、半面、斜陽の国とも見える。技術と経済全ての面でアグレッシブさを失ってしまった。
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World
Intellectual Property Organization 国際連合の専門機関
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fat
tech dragon
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information
communication technology