ウクライナ戦争の現状 (2025/7/13)

 

 

キーウへのドローンとミサイル攻撃のニュースを目にすることはあるが、戦争全体が今どのような状況にあるのか、少なくとも日本のメディアは詳細に報ずることがなくなった。

 

プーチンは5月から夏季攻撃を開始し、軍に対してこれが最後の一押しだと檄を飛ばした。前線での戦いは熾烈になり、ウクライナ軍は数の上でも火力の上でも劣勢にあるが、よく持ちこたえている。

 

ロシア軍の戦傷者数は7月始め時点で90万〜130万人、うち19万〜35万人が戦死者と推定される。夏季攻勢ではこれまでに31000人が戦死したと見られる。

 

このようにロシア軍は多大損害を出しながら攻勢をかけるが、侵攻の速度は極めて遅い。前進は1日あたり僅か15km2にすぎない(ロサンゼルス空港程度の広さ)。この1年間に兵1名の命と引き換えに確保した領土はたった0.038 km2(61m X 61m)である。夏季攻撃の勢いを持っても、ウクライナ全土を攻略するには90年ほどかかる。ロシアが既に占領したと主張する4つの州(ルハンスク、ドネツク、ケルソン、ザポリージャ)を完全占拠するだけでもあと3年半かかる1/

 

つまりミクロで見れば確かにロシアは前進しているが、マクロで見れば状況は膠着状態に近い。

 

一時は俺が戦争を止めてやると豪語したトランプ大統領も、今やプーチンがトランプの誘いに全く答える気のない事を理解し、失望したようである。

 

7月上旬、米国はウクライナへの武器の供与を一時的に停止すると発表した2/が、トランプは710日のNBCニュースのインタビューでNATOを経由して新たな武器を提供するすると発言した(米国はNATOに武器を送り、NATOがその費用を100%負担する。NATOはその武器をウクライナに渡す)3/

 

またトランプは、上院が制裁法案を可決することを期待していると明言した。法案について「それを行使するかどうかは私の判断次第だ。彼らは非常に重大で厳しい制裁法案を可決する予定だが、実行するかどうかは大統領の判断だ」とも述べた4/

 

トランプ以外にプーチンに対して強い対応が取れる人物がいないなか、ウクライナに冷たい態度を取って来たトランプがここに来て心変わりしたように見える。しかし、果たしてトランプがプーチンを停戦に向かわせることができるのか、未だ分からない。

 

 

 

 

1/     The Economist July 9th 2025

2/     トランプはこの件を知らないと発言している。

3/     CNN July 11th 2025

4/     日本経済新聞ウェブ版 (2025.7.11

 

 

 

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